青春は綺麗なものではない−「ハーフボイルド・ワンダーガール」

ハーフボイルド・ワンダーガール (一迅社文庫)
ハーフボイルド・ワンダーガール (一迅社文庫)早狩 武志

一迅社 2008-09-20
売り上げランキング : 161153

おすすめ平均 star
star正直期待外れ
star雰囲気も面白い
star隔靴掻痒の極み。しかしそれが面白さ。

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随分前に買ってからずっと積んでた『ハーフボイルド・ワンダーガール』。最近ようやく崩せたので読んでみた。

結果、集中力が続かない&遅読で有名な(60page/h)僕が1日で読み切ってしまった。


―――これは・・・ミステリなんかじゃない。

事前情報なしじゃ絶対釣られる

とんでもない詐欺師ですよ彼は(褒め言葉

「あたし……本当はちっちゃな頃から」
ずっと片想いだと思っていた女の子から受ける突然の告白――
そうして始まったのは、バラ色の生活ではなくて……事件だった!!

身に覚えのない嫌疑に戸惑う湯佐俊紀の前に現れた助っ人は、ミステリー研究会の会長・佐倉井綾であった。
推理に行動に何かと大胆な綾と、沈着冷静でちょっぴりヘタレな俊紀。そんな迷(!?)コンビで調査を開始するのだけど……。

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これだけ読むとその事件を解決して終わっちゃいそうなイメージ。でも読んでいくとわかりますが、これ序盤で犯人わかっちゃいます。普段からミステリってジャンル読み慣れてない僕にもわかりましたから。
ところが、作者のねらいは恐らく犯人を読者に暗示することで、読者の想像(妄想)を最大限に高めるところにあったと思うのです。 犯人を見つけるために俊紀と綾が考え、答えに行き着く課程において、読者は答え(犯人)を知っていることにより徐々に絶望(言い過ぎ)へと堕とされる感覚を味わう。これこそ早狩氏のやりたかったことなのだと思います。だからこそ探偵的な描写が長く、犯人は後半であっさりわかってしまう。本当に性質が悪い人だ。

”綺麗な物語なんてありえないんですよ”という読者への問いかけだったのかもしれないし、実際18禁ゲームでシナリオ担当した『潮風の消える海に』なんかもそんな要素ありましたし。 僕はその術中に見事はまって心をひどく抉られた気分ですよええ。読了後しばらくは痛かったですね。そしてあとがき読んで「つ、釣られたクマー!!」なマイハート。もうこれ以上俺の心を揺さぶらないでくれよう・・・orz

とりあえず読んで味わえ

とまぁ・・・何とも後味が悪いものの読んでて夢中になれた1冊なので一度手にとってみてください。読んでみれば僕が言ってた意味なんかもわかると思いますよ。
早狩さんは(嫌な方向へ)想像を膨らませるという部分において、ラノベ向きだなぁと思いました。ではまた。